一般皮膚科(保険診療)

一般皮膚科のイメージ写真

一般皮膚科では、かゆみや腫れ、かぶれ、にきび、水虫等の身近な皮膚トラブルから、アトピー性皮膚炎、乾癬などの慢性難治性の皮膚疾患まで、あらゆる皮膚疾患の診断・治療を行います。丁寧な診察と、必要に応じ諸検査を行いながら、科学的根拠に基づく治療を提供することはもちろん、患者様の生活スタイルにも配慮して治療にあたります。
皮膚疾患は多岐にわたりますが、早期に適切な治療を開始することが慢性化を防ぐうえでも大切です。
気になる症状や不安がありましたら、早めに一般皮膚科をご受診ください。

一般皮膚科では、主に以下のような皮膚の疾患に関して診療を行っています

湿疹

湿疹は皮膚の炎症性疾患の一種で、様々な原因によって引き起こされる皮膚の症状です。
赤み、丘疹、小水疱、鱗屑、など多様な発疹が混在し、かゆみを伴います。

主な原因としては、食物アレルギーやアトピーによるもの、金属や植物などに接触したことによるかぶれ(接触皮膚炎)、皮膚の乾燥からくるものなどがあります。原因がはっきりしないことも多いですが、治療で症状を改善することは可能です。

湿疹の治療としては、その原因や症状によって異なります。アレルギーが原因と考えられる場合は、まず、原因物質を遠ざけることが重要です。薬による治療では、保湿剤の使用、ステロイド外用薬、抗ヒスタミン内服薬などがあります。

湿疹が長引くと皮膚が厚くなり(苔癬化)治りにくくなるため、早期に治療を開始することが大切です。

白癬(水虫)

白癬(はくせん)は、真菌による感染症の一種で、主に皮膚や爪に真菌が感染し、炎症やかゆみなどの症状を起こす疾患です。爪白癬では爪の変色(白色や黄色)、肥厚、変形がみられます。

診断は、皮膚片や爪片を採取して顕微鏡で直接菌の有無を調べる検査によって行います。

治療法は、感染部位や重症度によって異なります。
体部白癬や足白癬などでは、基本的には患部に抗真菌薬の外用薬(塗り薬 等)を塗布します。重症の場合や爪白癬の治療では、抗真菌薬の内服薬(飲み薬)を使用することもあります。
内服薬は、飲み合わせなどに制限がある場合や、肝臓で代謝され負担をかけることがあるため事前に採血で肝機能に問題がないかを確認する必要があります。また内服中も定期的な採血での確認が必要です。

白癬は再発しやすいため、処方された抗真菌薬は、症状が良くなったからといって途中で止めず、医師の指示に従って決められた期間は使用することが大切です。

単純ヘルペス

単純ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)または2型(HSV-2)による感染症の総称で、疾患の種類によって口唇ヘルペス(主にHSV-1)または性器ヘルペス(主にHSV-2)と分類されます。感染部位の皮膚や粘膜に水疱やびらんを引き起こす疾患です。

単純ヘルペスウイルスの特徴は一度感染すると治療によって完全に排除されることはなく、神経節と呼ばれる部分に潜伏し続けることです。それがストレスや風邪、日光を浴びることなどを契機にウイルスが再活性化し、再発を繰り返します。

原因となる単純ヘルペスウイルスは、感染している人との接触、具体的には唾液や感染部位の分泌物を介して伝播されます。

単純ヘルペスの症状

口唇ヘルペスでは、唇やその周囲に痛みや違和感が生じて、その後に水ぶくれができ、次第にかさぶたとなって治ります。これらの症状は、発症後数日から数週間で消失することが一般的です。

性器ヘルペスは感染して4~5日後くらいに、主に性器周辺に赤い発疹や水ぶくれがみられ、ひりひり感やむずがゆさ、痛み、発熱などが現れます。初めて感染した際は、排尿ができないほどの痛みや発熱、足の付け根のリンパ節の痛みを覚えることが多くあります。再発の場合は、小さな水ぶくれや潰瘍が陰部にできる程度の軽い症状で済むことが大半です。

単純ヘルペスの治療

抗ウイルス薬の内服が一般的です。軽症の場合は外用薬で経過をみることもあります。
年に3回以上繰り返す方には、ファムビル錠®︎、アメナリーフ錠®︎を処方し、症状が出た時に速やかに内服する方法もあります。
年6回以上繰り返す性器ヘルペスの場合はバラシクロビル錠を毎日1回内服する再発抑制療法もあります。

帯状疱疹

帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる感染症で、紅斑や水疱が神経に沿って皮膚に現れるのが特徴的な疾患です。

水痘・帯状疱疹ウイルスは水ぼうそう(水痘)のウイルスでもあります。子どものころなどに、最初にこのウイルスに感染したときは、水ぼうそうとして発症します。そして治癒した後も、ウイルスの一部が神経の中に棲みつき、潜伏しています。これが後年になって何らかの理由で再活性化して急激に増殖、皮膚の表面に現れ、水疱を作ってしまうのが帯状疱疹です。再活性化する原因としては、加齢やストレスなどによって、免疫力が低下することが考えられています。基礎疾患のある方、免疫抑制剤を内服中の方、50才以上の方は発症リスクが高く注意が必要です。

帯状疱疹の主な症状は、体の左右どちらかに帯状に紅斑や水疱が現れるのが特徴です。これらの発疹が出る数日前から、神経の流れにそって、ちくちくとした痛みやかゆみ、しびれ、重い痛みなど様々な神経症状が出現します。発疹がかさぶたになって治るまでに1~2週間を要しますが、通常は痛みも皮疹の治癒とともに軽快します。しかし、皮疹が治ったあとも、痛みが長期間残存する場合があり、帯状疱疹後神経痛と呼ばれます。

帯状疱疹の治療

抗ウィルス薬による治療

抗ウィルス薬の内服を1週間行います。できるだけ早い段階で治療を開始することが大切で、それにより症状が軽く済んだり、後遺症のリスクが低減したりすることが期待できます。
全身症状を伴う場合や、発疹が体のあちこちに散布されるような場合(汎発性帯状疱疹)には、入院の上抗ウィルス薬の点滴による治療が行われます。

痛みに対する治療

痛みや神経症状に対しては消炎鎮痛剤や、プレガバリンなどの神経原性疼痛治療薬が用いられます。コントロールが不良な強い疼痛には、神経ブロック注射を行う場合があります。(麻酔科のある施設へご紹介します。)

帯状疱疹の予防

50歳以上の方に対して、帯状疱疹ワクチンの接種が推奨されています。発症や再発の防止に有効とされます。ワクチンには生ワクチンと不活化ワクチンの2種類があり、対象となる患者様には当院での接種も可能です。(予約制)
2種類のワクチンは、接種回数や費用、予防効果や効果の持続期間などが異なるため、診察時にどちらのワクチンを選択するか相談のうえ、予約をおとりします。

ワクチン比較表

  水痘ワクチン
ワクチンの種類 生ワクチン(※1)
接種回数 1回(皮下接種)
予防効果 50~60%
持続時間 5年程度
副作用 接種部位の痛み、腫れ、発赤
料金 8,800円
長所 ・1回で済む
・値段が安い
  シングリックス
ワクチンの種類 不活化ワクチン(※2)
接種回数 2回(筋肉内接種)
※2カ月後に2回目
※遅くとも6カ月後までに接種
予防効果 90%以上
持続時間 9年以上
副作用 接種部位の痛み、腫れ、発赤
筋肉痛、全身倦怠感
料金 22,000円
長所 ・免疫が低下している方にも接種できる
・予防効果が高い
・持続時間が長い
  • ※1:免疫不全・免疫抑制状態の方や妊娠中の方などは生ワクチンの接種を受けられません。
  • ※2:帯状疱疹の罹患リスクが高いと考えられる18歳以上の方も対象になります。

円形脱毛症

円形脱毛症は、毛髪が抜ける病気で、多くは頭部に円形の脱毛斑ができます。年齢は幼児から高齢者まで、症状も軽症から重症まで広い幅があり、抜ける範囲も様々です。原因は完全にはまだよくわかっていません。ただ自己免疫反応が大きく影響していると考えられており、遺伝的要因やストレス、特定の感染症、そのほかの環境要因などが引き金になると言われています。

症状として最も多いのが、円形あるいは楕円形の脱毛斑です。これらの脱毛斑は、頭皮上に現れることが多く、1ヶ所の場合もあれば複数の場合もあります。さらに頭部全体に及んだり、まつげや眉毛といった体毛に及んだりすることもあります。
家族歴がある人や、アトピー性疾患の人では発症率が高いことが報告されています。
そのほか、甲状腺疾患や尋常性白斑、膠原病などの自己免疫疾患を合併することがあり、円形脱毛症をみたときにはこれらの合併症がないかを確認することも大切です。

円形脱毛症の治療

円形脱毛症は、脱毛斑が数個までのものであれば、経過観察のみで7割が1年以内に改善がみられるといわれています。
薬による標準的な治療としては、ステロイド剤の外用薬、症状によりステロイドの局所注射を行います。
補助的に抗ヒスタミン薬やセファランチン、グリチルリチンなどの内服薬を用いることもあります。
ステロイドの局所注射は効果の高い治療ですが、注射部分の痛みや萎縮、血管拡張などの副作用もあるため、注意が必要です。脱毛範囲が広範囲におよぶ場合には、ほかの治療が検討されます。
症状が慢性化し、広範囲におよぶ場合には、頭皮に化学物質を塗って人工的にかぶれを引き起こし、リンパ球の毛包への攻撃を弱める局所免疫療法も適応になります。(自費診療、当院では現在行っていません)

このほか、毛包を刺激することで、発毛を促す効果が期待されている光線療法(紫外線療法)を併用する場合もあります。当院ではエキシマライトによる光線治療を行っています。(保険適用)

急速に脱毛が進行するケースではステロイド内服も行うことがありますが、肥満や糖尿病、骨粗鬆症などの副作用があるため、短期治療にとどめなくてはなりません。

脱毛面積が50%以上に及ぶ重症、難治性の場合はJAK阻害薬(オルミエント®)の内服
による治療も選択肢になります。

多汗症

多汗症は過剰な汗腺の活動によって、慢性的に通常の体温調節で必要以上に発汗してしまうものです。全身に過剰な発汗がみられる「全身性多汗症」と、身体の一部、とくに手のひらや足の裏、脇、顔、頭部などで過剰な発汗がみられる「局所性多汗症」があります。
原因として内分泌代謝異常や神経の損傷など何らかの疾患に起因するもの(続発性多汗症)と、原因が不明なもの(原発性多汗症)に大別されます。

局所性多汗症の発汗の程度には個人差がありますが、手のひらに汗をかくタイプの場合、少し多めに汗ばむものから、ノートなどに汗がしたたり落ちて字が書けないほどになるものもあります。また脇の下に過剰に汗をかく場合では、服に汗ジミができたり、皮膚表面の細菌が増殖して、不快なにおいの元になったりすることがあります。日常生活に支障をきたす場合は治療が必要となります。

多汗症の治療

保険適用
内服薬 内服の抗コリン薬が用いられます。
保険適用薬としてプロバンサインがあります。
体質に応じて、漢方薬が処方される場合があります。
外用薬 発汗を促す神経伝達物質であるアセチルコリンを阻害する外用剤によって治療します。
腋窩多汗症に対してはスティックタイプ(エクロックゲル®(12歳以上))とシートタイプ(ラピフォートワイプ®(9歳以上))の2種類があります。
手掌多汗症に対してはアポハイドローション®があります。(12歳以上が対象)
保険適応外
塩化アルミニウム液 アルミニウム塩などの成分を含む外用剤で、汗腺の出口を塞いで汗の分泌を抑制します。腋窩や手のひら、足うらに使用されます。
ボツリヌス注射 腋窩にボツリヌス毒素の皮下注射(ボトックス注射)を行ないます。これにより神経と汗腺の接続をブロックして過剰な汗の分泌を抑制することが期待できます。1回の投与で4~6カ月ほど効果が持続し、即効性があり満足度の高い治療と言われています。
ボトックス

粉瘤

粉瘤は、何らかの理由により皮膚に袋状の構造物(嚢胞)ができてしまい、その中に角質や皮脂などの老廃物が溜まって徐々に大きくなったもので、良性の皮膚腫瘍の代表的なものです。表皮嚢腫、粉瘤腫、アテロームなどとも呼ばれます。さらに細菌が侵入して化膿する場合があり、炎症性粉瘤と呼ばれるものになります。嚢胞ができる原因はよくわかっていません。

粉瘤の症状

皮膚がドーム状に盛り上がり、大きさは数mmから大きい場合10cm以上にまで至ります。中央に小さな黒い点がみられるのが特徴で、圧迫すると白色もしくは黄色のどろどろとした不快なにおいのする膿が排出されます。一般的に痛みはありませんが、炎症性粉瘤になると、患部が腫れて赤くなり、痛みを引き起こすこともあります。

粉瘤の治療

粉瘤は良性腫瘍のため、必ずしも治療の必要はありませんが、炎症を起こした場合は、切開して膿を排出する手術を行います。また大きくなって気になる場合や、神経を圧迫して痛みが生じた場合は手術で摘出することもあります。大きくなりすぎると手術の負担が増しますので、適切なタイミングでの処置が大切です。

脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎は、皮脂腺の過剰な分泌によって皮膚が炎症を起こし、赤みやかゆみ、黄色味をおびたフケや乾いたフケを伴う疾患で、頭皮、顔、腋などの皮脂分泌が盛んな部位に多く生じます。乳幼児と20~30代の成人に多くみられます。

原因としては、マラセチアという皮膚に常在する真菌(カビ)が増殖し、皮脂中のトリグリセリド(中性脂肪)を分解、その結果発生した物質に刺激され、脂漏性皮膚炎が発症すると考えられています。また生活習慣やストレスに関係して、皮脂の成分や分泌の機能異常や、ホルモンの分泌異常、またビタミンの代謝異常なども発症に関わることが知られています。

脂漏性湿疹の治療

適切なスキンケア

刺激の少ないシャンプーや石鹸を使用して洗顔、洗髪をし、患部を清潔に保ちます。また精神的・身体的ストレスが脂漏性湿疹を悪化させる可能性があるとされていることから、生活習慣を改善し、睡眠を十分にとることも心がけましょう。また脂質の代謝を助けるビタミンB群を含む、牛乳、レバー、ほうれん草、大豆などの食品を摂ることも有効です。

薬物療法

炎症を抑えるステロイド外用薬や、マラセチア菌を抑える抗真菌薬の外用薬を使用します。またかゆみが強い場合は、抗ヒスタミン薬の内服薬を使用する場合もあります。
このほか、皮膚の代謝機能を補助する目的で、ビタミンB群を処方する場合もあります。

白斑

白斑は皮膚の色素細胞であるメラノサイトが機能不全や欠如のため、メラニン色素が生成されずに一部、または全身の皮膚の色が白く変わる疾患です。斑状であることから、白斑と呼ばれます。

白斑の原因は完全には解明されていませんが、メラニン色素を合成するための遺伝子の変異や、メラニン色素の産出を促すメラノサイトの欠如などの遺伝的要因によるもの(先天性の白斑)と、メラノサイトを攻撃してしまう自己免疫疾患や、酸化ストレスや感染症など何らかの要因によるメラニン産出障害などの後天的な原因によるものがあります。

白斑は全身の至る所で発症し、通常の皮膚より淡い色で白っぽくなることが特徴的な症状です。痛みやかゆみはなく、生命を脅かすものではありませんが、見た目にも目立つため、整容面からの精神的苦痛が生じる場合が少なくありません。一方、バセドウ病や橋本病などの甲状腺の病気やⅠ型糖尿病などに合併して現れる場合もあるとされており、そうした病気の有無を確認する必要もあります。

白斑の治療

外用療法

自己免疫の異常によるメラノサイトへの攻撃などを抑制する効果が期待できる、ステロイドや免疫抑制剤、活性型ビタミンD3などの外用薬を用います。

光線療法

紫外線により基底層に残っているメラノサイトを活性化させる治療法です。当院では、ターゲット型のUVB照射器、エキシマライトによる光線治療を行っています。

その他

上記の薬物療法が効果不十分な場合、皮膚移植も治療選択肢となります。
また、カモフラージュメイクなども選択肢としてあります。

やけど

やけどは、皮膚が熱や化学物質、電気、太陽光、摩擦、そのほかの外部からの刺激によって損傷を受けた状態のことです。やけどはその状態によって、浅い炎症から、皮膚の深い層まで及ぶ深刻なものに至るまで様々な程度があります。

治療としては、やけどを負った場合、まず応急処置としてなるべく早く冷やすことが重要です。15~30分、患部に水道水を流して冷やします。服を着ている部分の場合は直接服の上から水をかけて冷やしてください。また濡れたおしぼりや、冷却材(貼り付くタイプではないもの)で冷やすのも有効です。

障害が皮膚の表皮でとどまっている軽度なもの(Ⅰ度)は、やけどをした部位が赤くなる状態のもので、数日で傷跡を残さずに治ります。皮膚の真皮にまで達している場合(Ⅱ度)は、水ぶくれが生じることもあり、浅いレベルにとどまるものは(ますが、なるべくそのままにし、軟膏などを塗って皮膚が乾かないようします。つぶれてしまった場合は消毒し、非粘着性の包帯などで患部を守ります。痛みを軽減したり、二次感染を防いだりするために、ステロイド剤や抗生物質の外用薬を使用することも考慮します。Ⅱ度でも深い場合やⅢ度の場合は、皮膚移植などの外科処置が必要になることもあります。

タコ/うおのめ

「タコ」も「うおのめ」も、皮膚に対して慢性的に摩擦や圧力が加わることで、角質が異常に増殖し、硬くなった結果生じるものです。そのうち「タコ」(胼胝:べんち)は皮膚の角層が表面方向に肥厚して、板のように硬くなったもので、「うおのめ」(鶏眼:けいがん)は厚くなった皮膚の角層の中心部分が、表面方向ではなく真皮の方へと深く侵入してしまった状態を指します。

タコは手の指にできるペンダコや足にできる座りダコなどがあります。角質肥厚のほかは無症状であることが大半で、痛みがなければ特に治療の必要性はありませんが、痛みを伴う場合は細菌感染などの合併も考えられるため、早めに受診してください。
うおのめは、足の指や足の裏にでき、直径5〜7mmほどの大きさのもので、神経が圧迫されると強い痛みが出ることがあります。その場合、治療が必要となります。またタコも放置していると、うおのめに移行することがあります。

タコやうおのめの治療としては、角化部位を削る、薬剤を用いて軟化させるなどの方法があります。削る場合、メスやニッパー等を使用し、角質を除去します。角質が厚く硬い場合は、まずサリチル酸含有のスピール膏を数日貼り、ふやけさせてから処置することもあります。

タコ、うおのめは、皮膚に対する外部刺激が改善されなければ、再発してしまいます。そのため、重要になるのは、ご自分の足に合った適切な靴を選ぶことで、圧迫や摩擦を軽減するようにします。予防策として、インソールやパッド等を使用することも有効です。

巻き爪、陥入爪

巻き爪、陥入爪とは

巻き爪とは、爪が内側に向かって丸く湾曲し、爪の下の皮膚を挟んだ状態で、母趾に生じることが多い疾患です。
巻き爪の原因は多岐にわたりますが、主に以下のような状況が原因となります。

  1. つま先の窮屈な靴を履き続けて足の指に過剰な力が加わった場合。
  2. 加齢、歩行の不足などで足のゆびに適切な力がかからない状況が長く続く場合。
  3. 間違った爪切り(深爪や爪の角をおとす切り方)

陥入爪とは、主に足の爪の角や側面が皮膚に食い込んで痛くなる病気で、最も多い原因は深爪です。

巻き爪、陥入爪の治療

巻き爪は必ずしも治療が必要でない場合もありますが、爪がくいこんで痛みを伴う場合や、歩行時のバランスが崩れてしまう場合、弯曲がつよく見た目が気になる場合などは治療の対象になります。
正しい爪の切り方をし、足の形に合わない靴を履かない、などのセルフケアも大切です。

①テーピング法

食い込みや深爪による痛みを緩和する方法で、爪の伸長を待ちます。
テープを爪の際に貼り、ひっぱることで爪と皮膚の間に隙間をつくり、痛みを和らげます。

②抗生剤による治療

陥入爪から細菌感染を合併した場合は抗生剤の内服や外用による治療を行います。

③巻き爪マイスター

コイルばねに内臓された超弾性合金ワイヤーの弾性力を利用して、巻き爪を矯正する医療器具です。比較的短時間で装着が可能で、痛みが少なく、持続的に爪の弯曲を矯正します。 爪をやわらかくし、矯正効果を高めるためリネイルゲルの併用を行う場合があります。
爪が短すぎる場合や、白癬などを合併し爪がもろくなっているなど、爪の状態によっては装着できない場合があるので、まずは診察のうえ、マイスターによる治療が可能かどうか判断します。
治療期間は個人差がありますが、およそ1~2か月です。
重度の弯曲では3か月以上かかることもあります。

料金

巻き爪マイスターは保険適応外での治療となり、以下の費用がかかります。

巻き爪
マイスター
1趾 8,800円
マイスター+
リネイルゲル
1趾 13,200円
リネイルゲルのみ 1趾 5,500円
診察料 1,100円
メンテナンス料 1,100円

巻き爪のイメージ画像

  
注意点・リスクなど

ワイヤーに隣の指が当たって傷ができる場合があります。ワイヤーにより周囲の皮膚や靴下、ストッキングが傷つくのを防ぐため、矯正具を装着した爪の表面を医療用テープで保護することをお勧めします。
装着部に強い圧力がかかると器具が外れやすくなるため注意してください。サッカーなどの激しい運動は出来るだけ控えてください。

蜂窩織炎

蜂窩織炎(ほうかしきえん)は、皮膚の深部から脂肪組織にかけての部分に細菌が感染して炎症が生じている状態を指します。原因となる細菌は主に黄色ブドウ球菌と溶連菌で、これらが皮膚の切り傷や手術部位から侵入し、炎症が進行します。ちょっとした引っ掻き傷や水虫(白癬)などからも侵入することがあります。足の脛や甲に発症しやすいとされています。

蜂窩織炎の症状としては、感染した部分に赤み、腫れ、強い痛みを引き起こします。また炎症が進行すると、発熱、悪寒、ふるえ、関節痛、倦怠感などの全身症状が引き起こされる場合があります。

進行が急速の場合、深部軟部組織感染症となり、なるべく早く処置を行わないと命に関わる場合があります。皮膚に強い痛みや皮膚の色の変化が急速に拡大していく、黒色に変化している、水疱が出たといった際は、早急に医療機関を受診しましょう。

蜂窩織炎の一般的な治療は、抗生物質の投与です。原因となっている細菌に合わせた抗菌薬を使用します。基本的には経口薬(飲み薬)ですが、全身症状が強い場合や、症状の進行が速い場合、ほかに糖尿病などの持病があって重症化のリスクが高い場合などは、点滴による投与を行います。

光線治療

光線治療のイメージ写真

当院ではターゲット型紫外線治療器、エキシマライト(エキシプレックス308)を導入し、難治性の皮膚疾患に対する光線治療を行っています。保険適応となる主な疾患は以下のようなものです。

  • アトピー性皮膚炎
  • 尋常性乾癬
  • 掌蹠膿疱症
  • 尋常性白斑
  • 円形脱毛症 など

エキシマライトは308nmの中波長紫外線(UVB)を照射する装置で、紫外線の免疫抑制効果を利用して、過剰な免疫反応による皮膚の症状の鎮静化を図るものです。紫外線と聞くと皮膚に有害というイメージがあるかもしれませんが、皮膚病に有効な面もあります。当院が導入する「エキシプレックス」では、有害な波長をカットし、皮膚疾患に効果があることが知られている308nmの波長のみを出力することができます。

エキシマライトの特徴としては、従来の紫外線装置に比べ輝度が大きく上がり、照射時間が非常に短くて済むことが挙げられます。また狭い部位への照射が可能で、無駄な照射がなく、余計な波長もカットされているため、紅斑反応や色素沈着などの副作用を最小限に抑えられます。

エキシマレーザーによる治療は、アトピー性皮膚炎、乾癬、掌蹠膿疱症など免疫異常に関わる皮膚疾患の治療に使われるほか、色素細胞(メラノサイト)を刺激し、色素再生を促すため、白斑の治療にも効果があります。なおこれらの疾患に対しては保険が適応されます。また、2020年4月からは、円形脱毛症も保険適用となり、毛包を刺激することで、発毛を促す効果が期待されています。

治療期間の目安

疾患や症状の程度によって異なりますが、週に1~2回、2ヶ月~半年程度の治療を行うことで、皮膚症状の改善が期待できます。トータル5〜10回目から効果を認め、20〜30回程度が目安になるとされています。

副作用

照射部位に赤みやほてり、色素沈着などを生じる場合があります。当院では初めて照射を行う場合、低めの出力からはじめ、照射後の皮膚の状態を確認しながら、照射量を慎重に調節していきます。

治療ができない方

免疫抑制剤を内服中の方、皮膚悪性腫瘍の既往のある方、光線過敏症の方